今回は夏とくに気をつけたい【多血症】のお話です。
- 「多血症」はなんとなく知ってるけど詳しく知りたい
- 男性ホルモン注射するとなんでリスクが上がるのか知りたい
- 予防法を知りたい
- 多血症でどんな症状がでるのか知りたい
多血症とはなんなのか、男性ホルモンとの関係、予防法さまざまな視点からお伝えしていくので、気になっている方の参考になればと思います。
病気を知って、根本から理解しようのコーナーです
その他、副作用や男性ホルモン注射についてはこちらから
それではれっつごー。
- 薬剤師歴10数年
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- 未治療で埋没経験有
- パートナーと結婚式を挙げ
マイホーム購入経験有
男性ホルモン注射の効果と副作用
まずは男性ホルモン注射の効果と副作用のおさらいです!
- 月経停止
- 子宮の萎縮
- 陰核肥大
- 変声
- 筋力増強、体重増加
- 髭、体毛、陰毛の増加
- 皮脂分泌増加
- 頭髪脱毛
- 性欲亢進
続いて副作用
- 多血症、血栓塞栓症
- 体重増加・浮腫
- 肝機能障害
- 脂質代謝異常
- 重症なニキビ
- 骨粗鬆症
肝機能・脂質異常症・骨粗鬆症に関しては別記事に記載があります。あ、にきびも←
…とおさらいしたところで多血症!本題に入っていきます。
多血症とは
その名の通り多い血の症状!!(血が多いとも言う←)
過剰に血が多くなりすぎることで血液がドロドロになったり、血管がつまったりします。
ただ、一言に血といっても種類色々ありますよね〜。
そんなズラズラ血液の成分を書いてもしょうがないので(?)
次項から色々詳しく話をしていきます。
多血症の症状
まず、多血症の症状!!
「多血症になったら何がどうなるの?」っと気になるところ。むしろこれが一番気になる。
自覚症状
初期の段階ではほぼ無症状です。
進行すると顔が常に赤かったり、目や口など粘膜が充血したりします。お風呂上がり血行が良くなったときに体にかゆみ症状が表れることもあります。
その他、頭痛・めまい・耳鳴りも起こることがあります。
自覚しないうちに出る症状
進行していくと、血栓という血の塊ができやすくなります。
その血栓が血流に乗って心臓や脳に運ばれると、心筋梗塞や脳梗塞を起こす恐れがあります。
多血症に関わる血液検査項目
多血症に関わるのは
- ヘモグロビン:血色素・低値で貧血
- ヘマトクリット:全血液中の赤血球の容積率
の2種類です。
ヘマトクリット値は血液検査項目にありますが、血液成分ではなく、全体の赤血球が占める割合みたいなイメージなので単位が「%」になってます。
- ヘモグロビン⇒男性:>16.5g/dl 女性:>16.0g/dl
- ヘマトクリット⇒男性:>49% 女性:>48%
このどちらかが越えていた場合、多血症と診断されます。
なので多血症の診断において赤血球数は基準には含まれていません。
赤血球が多くても全体の割合(ヘマトクリット値)が変わってない&ヘモグロビンが正常だったら多血症じゃないってことね。
ヘマトクリット値が上昇すればするほど赤血球濃度が高く、イメージ的にはドロドロな感じになります。
血液検査表がある方は見てみてください〜。
以下詳しいヘモグロビンの基準です。
軽度異常 | 要医療 | |
男性 | 16.4〜18.0 | 18.1以上 |
女性 | 14.6〜16.0 | 16.1以上 |
男性ホルモン注射と多血症の関係
多血症はわかったけどなんで男性ホルモン注射が多血症のリスクあげるのよ!って話。
結論
男性ホルモンは赤血球をつくる骨髄に働きかけて、血を作る働きが過剰になるためです。
FTMさんが注射しているであろう男性ホルモン注射。
エナルモンデポーやテスチノンデポーですが保険適応している病名がこちら…
認められている適用症
・骨髄線維症
・再生不良性貧血
・腎性貧血
・男子性腺機能不全
・造精機能障害による男子不妊症
そう、血が足りない系の病気がある(ざっくりすぎる説明)
男性ホルモンは血の生成を促す『エリスロポエチン』の製造を促す働きがあると言われています。
血の生成を促すやつを促すのね(ややこしい)
この薬を造血系が正常な人に打ったらそりゃ血も多くなるよねって話です。
単純な話、もともと男性ホルモンが豊富な人は赤血球数も多く作られてるということになります。
多血症の種類
多血症にはそれぞれ原因によっておおまかに3つの種類に分けられます。
なので原因を勝手にきめつけていると病状や症状が悪化する場合があるのできちんと受診して血液検査は必ず定期的にしませう。
ここからはその原因と多血症の種類を説明していきます。
頭疲れてきた←
真性多血症
シンセイ!!
真性多血症は骨髄増殖性疾患の1つで、骨髄中の造血細胞の異常によって全種類の血液細胞が過剰生産される病気です。
いきなり難しい言葉の羅列…
要約しまくると
血を作るところに異常が発生していて、血が作られまくるというもの。
遺伝子レベルの異常ということが確認されています。
これは男性ホルモン注射うんぬんのレベルでなるものではないと言えます。
2次性多血症
ニジセイ!!
2次性多血症は簡単に書くと
体に酸素が行き渡らない状態が続く⇒酸素を運ぶ赤血球がたくさんつくられる(エリスロポエチン増加)⇒赤血球が多すぎて多血症になっちゃう
という何か元の原因が起こした2次性の多血症のことです。
体に低酸素を起こす⇒喫煙・肺疾患・肥満・睡眠時無呼吸症候群・標高が高い地域でのトレーニング等
エリスロポエチン増加⇒腫瘍・男性ホルモン使用等
男性ホルモン注射はエリスロポエチンというやつをたくさん作っちゃうため、男性ホルモン注射が原因でなる多血症はここに部類されます。
そして…
お気づきだろうか。
原因=リスク
リスクって当てはまるものが多いほど上がるんやで(謎の関西弁)
男性ホルモン注射は悲しいかな打ち続けなきゃいけないため排除はできない…ということは
喫煙
肥満
手遅れにならない前に何とかしませう。…ね?
ここまで読んだら次項も必ず読んでね!!←
相対的多血症
ソウタイセイ!!
これが原因としては一番多い印象。
夏は多血症に気をつけて!!!はこの話。
相対的多血症は血液の濃縮によって多血症になってしまうことです。
汗かいて脱水症状に陥ると体内の水分量が減っている状態です。わかりやすい話にすると…
血液10に対していつも水分100で薄めている状態が正常だとします。
この水分が脱水により半分へってしまうと
血液10に対して水分が50しかなくなってしまい濃度が濃くなります。
逆にわかりにくい?←
まぁ、この濃度が濃くなった状態が相対性多血症なんです←
なのでこの相対性多血症は男性ホルモン注射関係なく誰にでも起こりうる多血症なんです!
男性ホルモン注射してたらリスクは高くなるけどね。(前項参照)
嘔吐・下痢・脱水症状
夏とか、胃腸炎とか、食あたりとか!そこらへん注意が必要です!
予防法はあるの?
多血症になると、症状でもお伝えしたとおり、血の塊ができて心筋梗塞や脳梗塞等の原因になります。
そうならないためにも日常生活では脱水にならないように心がけましょう。これはどの種類の多血症にも言えることです。
ただし
水分を摂るときに本気でアルコールでいいと思ってる人がいますが、アルコールは利尿作用があり、飲んだ水分以上が尿として出ていっていしまう場合があります。
なので水分摂取といったら、アルコール以外でお願いします!!!!
相対的多血症を予防することによって他2種類の症状悪化を防ぐことができるので、水分摂取は意識することが望ましいです。
ただし
真性多血症と2次性多血症の対処療法、予防であって根本的な治療ではないため
水分だけ摂って『大丈夫』とは思わないでくださいね!!!!!
真性多血症であった場合は作りすぎた血を外に出す瀉血というものが必要な場合もありますし、男性ホルモン注射が原因だった場合は医師と相談してホルモン治療の量や間隔を調整する等しないと良くならない場合もあります。
定期的に血液検査を受けていれば、その都度体の以上を医師に見てもらえるので悪化の心配やリスクは減ります。
定期的な血液検査大事なの!!!!
まとめ
ということで多血症について色々お伝えしてきました。
ただひとつ伝えたいことは
水分摂取してね!!
ではなく
定期的に血液検査受けてね!!
ってことです。
もちろん水分摂取も大事ですけどね。
ということで今回は『多血症』の勉強回でした!!
以上です〜。