今回はMTFさんに知ってもらいたい
性ホルモンの話。
つまり勉強回です。
今回はホルモン自体の説明をしていきます。
- MTFでホルモン治療を考えている人
- ホルモン治療をすることで体内でホルモンがどうなっているか知りたい
- MTFのパートナーの人
- 薬剤師歴10数年
- LGBTQブロガー
- 未治療で埋没経験有
- パートナーと結婚式を挙げ
マイホーム購入経験有
それではごー。
【GID治療】MTF×知っておくべき性ホルモン知識
性ホルモンの種類
種類をおおまかに説明。
大きく分けると2つ
女性ホルモンはさらに2つに分かれます。
女性ホルモン(2種類)
- 卵胞ホルモン(エストロゲン)
- 黄体ホルモン(プロゲステロン)
男性ホルモン(アンドロゲン)
- テストステロン
男性ホルモンは総称して
【アンドロゲン】
とも呼ばれています。
男性ホルモンの約95%ほどがテストステロン
で占められているので
男性ホルモン≒テストステロンと
認識されていることが多いです。
【GID治療】MTF×知っておくべき性ホルモン知識
性ホルモンの働き
この性ホルモンの働きによって
悩まされてるんだよね。
卵胞ホルモン(エストロゲン)
エストロゲンとは
- エストラジオール
- エストロン
- エストリオール
の3種類の総称になります。
この内最も強力な女性ホルモンがエストラジオールです。
(エストラジオール>エストロン>エストリオール)
エストロゲンは
女性らしい体を作る。排卵、月経を起こし妊娠に必要な子宮の環境を整える。
皮膚や骨の健康、感情、自律神経の働きにも関与するホルモンになります。
MTFさんにとって
エストロゲンを含んだ製剤を使う事によって
体を女性らしい体に近づける事ができるので
多くのMTFさんの第一選択となります。
黄体ホルモン(プロゲステロン)
子宮の環境を整え、妊娠しやすい状態にするホルモンです。
こちらのホルモンは
女性らしい見た目になるにはやや効果が薄い妊娠に関わるホルモン
エストロゲンを手助けして女性らしさをサポートするような感じなので
MTFさんにとって
見た目を女性らしい体にすることを重視するのであれば
プロゲステロンを含んだ製剤は第一選択にはならず。
エストロゲン製剤を使用して男性ホルモン濃度が下がらない場合や
より女性らしい体に近づけたい時に
エストロゲン製剤と一緒に使用したりします。(個人差あり)
クリニックさんによっては急激な見た目の変化などを望まない
MTFさんにプロゲステロン製剤を使うこともあるようです。
テストステロン
思春期の男性器の発育促進(男性の二次性徴)を起こすホルモンです。
主に
- 骨格・筋肉の成長
- 声変わり
- 睾丸・陰茎の発育
- 陰毛が生える
思春期に急に背が伸びるのは
成長ホルモンと男性ホルモンが関係していますが
このとき男性ホルモンが多いからといって背が伸びる訳ではありません。
男性ホルモンが多いとかえって骨の発育が止まることがあります。
思春期の二次性徴が起こるまでの
男児のテストステロンレベルは女性と同じとのこと。
ってことは思春期前までは外見(陰茎など)は違えど
男性ホルモン量は女性と一緒ってことか。
つくづく外見てめんどくさいね〜。
【GID治療】MTF×知っておくべき性ホルモン知識
男性ホルモンが作られている場所
お次は男性ホルモンが作られている場所。
まずはじめに基本形・・
性ホルモンはコレステロールから出来ています。
簡単に説明すると
コレステロール➡プロゲステロン➡テストステロン➡エストロゲン(エストラジオール)
このような過程で男女ともにホルモンが生成されています。
男性ホルモンが作られている場所①
1つ目は睾丸(精巣)です。
男性ホルモンの約95%をしめるテストステロン
が睾丸(精巣)で作られています。
男性ホルモンが作られている場所②
2つ目は副腎皮質です。
こちらでは男性ホルモンの約5%をしめる
- DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)
- アンドロステンジオン
という男性ホルモンが作られています。
この2種類は副腎性アンドロゲンと呼ばれます。
副腎性アンドロゲンがどんなものかというと
- DHEA:働き度合いはテストステロンの約5%。【若返りホルモン】といわれている。
- アンドロステンジオン:DHEAから変換されてテストステロン・エストロン(女性ホルモン)などに変換される。
つまり合成過程は
DHEA⇒アンドロステンジオン⇒テストステロン・エストロン
結果的に副腎性アンドロゲンからも
テストステロンが産生されている事がわかります。
【GID治療】MTF×知っておくべき性ホルモン知識
睾丸(精巣)を摘出しても男性ホルモンはなくならない
上記で記載したとおり、約5%は副腎皮質という場所で作られているため
睾丸(精巣)を摘出しても男性ホルモンはなくなりません。
ただ睾丸(精巣)を摘出することによって
大半のテストステロンが作られなくなるため
テストステロン作用はもちろん少なくなり
体の女性化は進みます。
先に女性ホルモン投与などで治療している方だと
睾丸(精巣)の機能が低下しテストステロンが
作られにくくなっているため
睾丸(精巣)を摘出しなくても体の女性化が進みます。
そのため、その後睾丸(精巣)を摘出してもあまりそれ以上の
女性化が顕著には現れないこともあります。(個人差あり)
現在ではMTFの方だけではなく
MTXの方がより中性的になるために
睾丸(精巣)を摘出したり
脱毛予防のために睾丸(精巣)を
摘出したりすることもあるようです。
ただこの睾丸摘出は不可逆的となります。
睾丸摘出によって起こる作用は
- 顔の髭や体毛の減少(頭髪は増加)
- 脂肪がつきやすくなる
- 筋肉の減少
- 乳房・乳腺の発育
- 男性としての性機能消失(精子生産停止)
- 性欲の減退
となります。
またホルモンバランスも崩れるため
更年期障害の原因にもなります。
いったん取ると戻らないとなると
きちんと考えてから行動しないと
のちのち後悔することも
あるかも・・・ね・・・
【GID治療】MTF×知っておくべき性ホルモン知識
男性の体でも女性ホルモンは作られている
男性ホルモンが作られている場所②でも記載の通り
副腎性アンドロゲンから
エストロンという女性ホルモンが作られています。
DHEA ⇒ アンドロステンジオン ⇒ テストステロン・エストロン
エストロンとはエストロゲンの一種です。
そして基本形でもお伝えした過程で
テストステロン ➡ エストロゲン(エストラジオール)
テストステロンからもエストロゲン(エストラジオール)が作られます。
アンドロステンジオンがエストロンに変換される時や
テストステロンがエストロゲン(エストラジオール)に変換される時
アロマターゼという酵素が使われます。
アロマターゼは脂肪細胞や副腎にあるため
(女性では卵巣にもある)
エストロゲンが生成されます。
閉経前の女性ではこの過程で卵巣から
エストロゲン(エストラジオール)が
多く作られますが
閉経後は卵巣があまり働かなくなるため
男性同様もしくは
高齢では男性のほうがエストロゲンが多い事もあります。
【GID治療】MTF×知っておくべき性ホルモン知識
女性ホルモン治療でリスクが高くなる病気
MTFさんが女性ホルモンを摂取する上で
懸念される病気です。
- 深部静脈血栓症
- 心不全
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 肝機能障害
- 頭痛
- 乳がん
よく血液検査で出る項目としては
肝機能障害(GOT・GPT・γ−GTP)と
静脈血栓塞栓症に関わるD-ダイマーの数値だと思います。
肝機能についてはこちらの記事の中に
記載があります↓
なので次回!(機会があれば←)
血液疾患とホルモンの関係について
記載していきたいと思います。
ということでだいぶ基礎編になりましたが
ひとまず
【GID治療】MTF×知っておくべき
性ホルモン知識
でしたヽ(´ー`)ノ